辺野古の海を埋め立てるな! 全力で現地闘争を支援しよう
HOWS講座『琉球新報』滝本匠記者を招いて開催

「占領下」さながらの日米地位協定の実態


 辺野古新基地の埋め立てに向けた護岸工事が着々と進められ、稲嶺名護市長の落選、翁長県知事の病気が伝えられるなかで、キャンプ・シュワブのゲート前では警察の暴力的な弾圧で逮捕者や負傷者が続出している。沖縄が苦渋に満ちたたたかいを強いられている今、われわれに何ができるか。認識を深めるため、五月十九日、『琉球新報』東京支社の滝本匠さんを招いてHOWS講座「いま、沖縄で起こっていること」が開かれた。
 まず二〇〇四年、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した直後の映像を見た。これは当時放送で使われなかった部分をふくみ、米軍の検問をかいくぐって事故直後の現場状況を伝えた貴重なもの。校舎内にまでヘリのモーターが突っ込んでいるさまは事故の惨状を生々しく感じさせるが、それにもまして、周辺を封鎖して大学職員を追い出し、日本の警察や消防までも立ち入り禁止とし、撮影しようとするテレビ局を執ように妨害、すな、土砂で埋めるな5・26国会包囲行動をスタートします」と宣言して、集会はスタートした。
 主催団体挨拶。国会包囲実行委員会の野平晋作さんは、沖縄防衛局の報告書さえ大浦湾に「活断層の疑い有り」と認めていること、および大浦湾にあるマヨネーズ状の軟弱地盤について解説、翁長知事が土砂投入による埋立に際して建設許可撤回の準備を進めていることに触れながら、知事の設計変更不許可によって埋立が阻止できることを強調した。総がかり行動実行委員会の福山真劫さんは、憲法破壊撮影したテープを取り上げようとする米軍の姿に、「占領下」さながらの治外法権がまかり通る沖縄の異様な現実を体感した。一方、抗議する市民・学生が米兵を取り囲み、取材カメラマンを守ったという話には人民の怒りのパワーを感じた。
 このような米軍の横暴を可能にしているのが「日米地位協定」であり、これが憲法をはじめとする日本の法体系の上位に君臨するため、県警には事故の現場検証すらできない。また近年は訓練空域・海域の外での訓練が常態化し、民間機や漁船の航行を妨げている。数々の構造的な欠陥を抱えたオスプレイが名護上空を飛び回っているが、次は横田基地に配備され、長野や新潟でも危険な低空飛行がなされようとしており、「本土」もよそ事では済まない。米兵・米軍属のたび重なる強かん・殺人などに際して、身柄の引き渡しや捜査権をめぐって、沖縄県側から再三の改善要請があったにもかかわらず、米軍と日本政府は見せかけだけの対応に終始し、条文は一切改訂されていない。犯人が基地内に証拠品を棄ててしまうと捜査ができず、県警は証拠調べのために米軍が出したゴミを漁っているありさまだ。辺野古基地について、司法も問題の本質を議論することなく県の訴えを退けた。自己決定権を奪われてきた沖縄への構造的差別がますます露わになっている。稲嶺前市長が顧問に就任した名護東海岸漁協の新設申請など、新しい動きもあるが、翁長知事は二期目への出馬を表明せず、先行きは不透明だ。最大の山場である県知事選より前に、切り札となる埋め立て承認の撤回が待たれる。質疑では朝鮮半島情勢をめぐって、在韓米軍と在沖縄米軍の軍種の違いなど、知見を深めることができた。われわれも地位協定の実態を広く知らしめ、右派勢力の虚偽宣伝を退けることで、安倍政権と対決しよう。 【野田光太郎】

(『思想運動』1023号 2018年6月1日号)